▼定跡研究の効用

「定跡を研究することによって序盤で不利に陥らないようにする」
と前のページで私はいいました。

しかし、定跡は序盤だけでなく、いろんな場面で役に立つものなのです。
このページでは、定跡を勉強することによってどのような効果があるのかを話したいと思います。


■大局観が身につく

大局観とは、序盤や中盤で定跡からはずれても、
どのような手を指したら局面が自分に有利になるのかがなんとなくわかる感覚のことです。

そして、定跡を勉強することによって得られる一番大きな利益が、この、大局観が身につくことだと思います。

では、なぜ定跡を研究すると大局観が身につくといえるのでしょうか。

それは、定跡を研究する、というのは、
定跡がなぜそのような結論に至ったのか、という、その過程を理解することだからです。

そして、その過程を理解したということは、局面の分析がしっかりできたということであり、
どのような感覚をもって次の手を指していけばいいのかを理解したということですので、
定跡を理解することは、大局観を養うことになるのです。

ときどき定跡を勉強するということを、定跡の暗記をすることだと勘違いしている人がいますが、
それは違います。
確かに将棋の強い人はたくさんの定跡を暗記してはいますが、
それは定跡のもつ深い意味を何回も味わうことによって自然と覚えてしまった、というほうが正しいのです。

数学を暗記科目だと思っている人にはわけがわからないかもしれませんけど(゚ー゚;A)、
将棋の定跡というのは、数学の公式と似ています。
数学(=将棋)というのは先人たちが研究してきた公式(=定跡)の意味を理解し、
それを使いこなして別の問題(=局面)を解いていきますが、
数学の公式というものも丸暗記するものではありません。
なぜその公式が出てきたのか、というその導出過程を理解することによって、
次からは苦労しながらもその公式を自分で導けるようになるのです。
そして、その公式の導出を何回も繰り返していくうちに、自然と公式を覚えてしまっているのです。

将棋もこれと同じです。
定跡の一手一手に込められた先人たちの深い研究成果を何回も繰り返し理解しようと努めることによって、
自然と定跡を覚えてしまうし、大局観が身についているのです。

ですから、定跡研究を、単に先人たちが研究してきた成果を丸暗記することだと思っている人は、
その勉強の仕方が間違っているのだと言えますし、
そのような人に限って
「定跡通りに将棋が進むことはあんまりないから定跡の勉強は意味がない」と言ったりするのです。

違います。

逆です。

定跡通りに将棋が進まないからこそ、定跡の勉強をして大局観を養うのです。
定跡の研究で培った大局観があるからこそ、定跡からはずれた局面でも最善に近い手を指していけるのです。

もちろん、そんなに簡単に最善に近い手を指せるようにはなりませんが、
大局観がなければ最善に近い手などさせるわけがないことはすぐわかると思います。

これからは定跡を丸暗記しようとするのではなく、その定跡がなぜそのような手順を踏むのかを
解説を参考にして、何回も何回も繰り返し理解しようと努力していきましょう!

そうすることによって、必ず大局観が少しづつ身についていきます。
そして、自然と定跡を覚えてしまうので、序盤で不利に陥る可能性が必然的に少なくなっていきます。

また、定跡を勉強することによって、脳内将棋盤の形成にも役立つことはいうまでもありません。

どうですか。
いいことづくめだと思いませんか?


■いろいろな手筋(てすじ)を覚えることができる

定跡研究をして他に得られるものとしては、さまざまな手筋を覚えられることです。
(手筋というのは、筋の良い手という意味ですから、覚えておいて得をするのはすぐわかると思います(笑))

定跡を研究するというのは、自分が不利にならない正しい手順を調べるだけではなく、
自分が正しい手順を踏まないで駒組をしたらどのような攻めをくらってしまうのか、ということを理解することです。
(逆に、相手が間違えたらこちらにどのような攻めがあるのかを理解することです)

そして、悪い手を指してしまったときに出てくるのが、その手をとがめる手筋であることが多いのです。
また、無理な攻めをしたときには手筋の受けがあって、攻めたのにいつのまにか不利になっている、
ということもよくあります。

ですから、定跡を理解しようと思っていると、必ず何個か手筋に出会うと思いますので、
実戦に役立つ手筋をいろいろ覚えることができます。

そして、手筋というのは、実戦で指せればそれだけで自分が有利になる類のものです。
大局観というのは一局の将棋の流れに関する感覚ですが、手筋というのは、ある局面で自分が駒得をしたり、
敵陣を破るなどの戦果をあげることを助けてくれるものなので、
手筋を覚えることによっても棋力がアップするのは間違いありません。

私のサイトでもいくつかの手筋や格言を載せていますので、ぜひ参考にしてみてください。




以上が定跡を勉強することによって得られる利益なのですが、いかがでしょうか?

なぜ定跡を研究することによって棋力がアップするのかをわかってもらえましたか?
また、丸暗記する方法ではダメなことも納得してもらえましたか?

定跡を研究することによってあなたの棋力はどんどんあがっていきます。
これからは、詰め将棋と同様、定跡に関しても少しづつ勉強していって、初段への道を歩んでいきましょう!

なお、具体的に定跡を勉強するというのは、プロの棋士が書いた本を読むのがいいと思います。
自分がよく指す戦法の本など、自分にあったものを選びましょう。


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