| ▼中盤力はどうするの? ここまでの話の中で、私は 初段になるためには詰め将棋と定跡の研究をすればよい と言いました。 そして、その主な理由は、 将棋は玉を詰ますゲームであるため、詰め将棋によって終盤力を鍛えるのが一番重要であると同時に、 終盤で逆転不可能なほどの大差がつかないよう序盤の駒組みを進めるために定跡の勉強をすることが必要だから ということでした。 しかし、これでは中盤はどうするのだ、ということになってしまいます。 そうです、将棋は序盤と終盤だけではなく、その間に中盤が存在します。 ですから、そこの対策をしないで本当に初段になれるのか疑問に思う方も多いでしょう。 でも、私の経験から言うと中盤対策というものは、5段や6段ではなく初段を目指す程度ならば きちんと時間をかけて将棋を指し、自分の将棋を見直す人には特に必要がないと思っています。 (ですから、いつも早指しで将棋を指しっぱなしの人は要注意です) その理由がいくつかあるので、このページではそのことについて触れてみたいと思います。
■中盤は千変万化。だから最善手はプロだってそうそうわからない 将棋の中盤というのはどのようなものかをここで確認しておきましょう。 中盤というのは、序盤の駒組みが終わり、駒がぶつかって戦いが起こる段階であるため、 将棋の一番おもしろいところであると同時に、一番難しいところでもあります。 なぜ難しいのかといえば、中盤は序盤・終盤以上に盤面全てを見渡さなければならないからです。 もちろん序盤や終盤でも盤面全てを見なければなりませんが、 序盤は駒組みであるため、注目するべきところが限られていますし、 また、終盤は玉を詰ますのに必要な情報だけがあればよいのに対して、 中盤というのはお互いの駒がぶつかり合い、いろいろな手段が考えられる、まさに千変万化の局面であるため、 どうしても盤面全てに注意を払わなければならないのです。 そして千変万化であるがゆえ、読むべき手が非常にたくさんあり、 プロですら中盤で読み抜けがあって悪手を指してしまったり、最善手がわからない、といったことになるのです。 しかし、読むべき手が多いだけなら中盤はこれほど難しくはなりません。 その証拠に、人間よりもはるかに多くの手を短時間に読めるコンピューターでも プロの棋力にはとうてい及ばないことから、 将棋の中盤はただ多くの手数を読めばいいわけではないことがわかると思います。 では、いったい何が中盤を難しくしているのでしょう。 実は、中盤が難しいのは、読むべき手がたくさんあることに加えて、何をすればよいのかがわかりづらい点にあります。 つまり、今は駒得をすることが重要なのか、多少駒の損をしても駒の働きが重要なのか、 それとも玉の堅さを保つのが一番大事なのかという形勢判断が難しいため、 局面をどのようにするのかの目標がわかりづらいのです。 そして、目標がわからなかったら手の読みようがないし、 形勢判断ができなかったら、いくら手を読んでも、その読んだ局面が自分にとって有利なのかどうかわからないため、 手を読む意味がない、ということはすぐわかると思います。 (その点、終盤は違います。 終盤は自分の玉が詰まされるよりも先に相手玉を詰ますという明確な目的があるため、 いろいろ考えやすいし、何よりも終盤というのは手がある程度限定されています。 詰め将棋なんかはその典型で、パソコンは機械的に王手がかかる手をずっと読んでいくだけなので プロよりも詰め将棋が早いのです。 だからといって、終盤が簡単だといってるのではありませんが(笑))
■具体的な勉強方法はなく、ただ将棋をしっかり指すだけ
以上述べてきたように、中盤というのは、読む手がたくさん多いことに加えて、 どんな目標を持てばよいのかが局面によって違うため、 具体的に本を買って勉強する、ということはほとんどできません。 では、中盤力は養えないのかといえば、そうではありません。 中盤というのは千変万化、局面によって考え方を変えなければならないのですから、 実戦が一番の勉強法になるのです。 中盤で指した手が最後になってどのように響いてくるのかを実戦で学べます。 ですが、将棋を早指しで指して、対局後に自分が指した手をほとんど覚えてないような状態で 実戦経験を積んでいっても意味がありません。 そのような将棋の仕方では、中盤でどのように指したから最後どうなったのかがちっとも理解できません。 難解な中盤を自分の頭で考えることによってのみ、実力がついていきます。 よく考えて将棋を指し、その結果がどうなったのかを対局後に検討することによって、 中盤ではどのような手を指せばよいのかが、ゆっくりと身についていくのです。 プロは対局後に必ず何時間か感想戦をしているでしょう? あれは自分が強くなることを知っているから感想戦をしているのです。 しかし、私たちは将棋を職業にしているわけでもなければ、一局の将棋を1時間以上も検討する時間もありません。 ですから、絶対に1時間感想戦をしろとはいいませんが、 対局後に自分の棋譜を見直して、どの手が悪くてどの手が良い手だったのかぐらいは考えたほうがいいと思います。 というわけで、5段とか6段になりたいのだったら、感想戦をきちんとして、 中盤の戦い方を身に付ける必要があると思うのですが、 初段ぐらいだったら自分ひとりで検討したり、場合によっては自分よりも強いコンピューターに 終盤近くの手をきいてみるのでも十分です。 以上が中盤力に関する私の考え方だったのですが、いかがでしょうか。 将棋を早指しでたくさん指して、その勝ち負けだけを楽しんでいればそれでよい、 というのならそれでかまわないのですが、 強くなりたいのだったら、やはりそのような楽しみ方ではなく、 一局の将棋に真剣に取り組む必要があることがわかったと思います。 ですから、中盤対策というのはこれといったものはなく、 時間をかけてたくさん考えながら将棋を指し、局後にその検討をする、という当たり前のことが中盤対策なのです。 しかし、この当たり前のことができない人が多いのも事実です。 将棋倶楽部24では早指しで将棋を指し終わったらすぐ次の対局をしている人が少なくないことからも、 感想戦はおろか、自分一人ででも自分の指した手の検討をしない人が多いことがうかがえます。 ただギャンブルのように勝ち負けを楽しむのも時にはいいと思うのですが、 将棋の奥深さは勝ち負けだけにあるのではなく、 一局の将棋についてどれだけ一生懸命考えたかによって味わえるものです。 これからはぜひとも時間をかけてよく考えながら将棋を楽しんで強くなっていってください! [→Back] |
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